ラジオの生き残る道は見えたか? [ラジオ]
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Radikoは、ビジネスモデル上の問題で、エリア制限はあるものの、単なる難聴対策を超える人気を得ている。ただ、これは、あくまで放送の補完が前提だ。
放送自体の改革については、テレビの1~3chのエリアを使ったデジタルラジオ開始というテーマが持ち上がっていた。
誤解している人も多いので、改めて書いておくと、このデジタルラジオ放送は、Radikoのように、ラジオ放送をネットで再配信するものではなくて、電波を使って片方向で放送を垂れ流す、本当の放送サービスだ。
また、今あるAM/FMラジオ放送を、テレビの様にデジタルに完全移行するものではなく、従来の放送を残したまま新たな放送を追加する。
すなわち、AM/FMは、デジタルラジオ放送が始まったからといって、テレビのように停波する訳ではなく流し続けるのだが、デジタルが始まったらアナログは止まると勘違いしている記事も多く、それは完全な間違いだ。
なお、デジタルラジオ放送は新規の放送免許になるので、放送内容も、従来のAM/FMラジオに縛られる必要はなく、全く別の新しい内容のchを流してもよい。
一方、1chを放送するのに必要な帯域は、デジタル化で大幅に小さくなるため、今より多チャンネル放送が可能になるが、おそらく、その中に、現行のAM/FMラジオ放送も、サイマル配信で流されるだろうと言われている。
なので、デジタルラジオ放送で、AM/FMラジオの内容が聞けるようになる、というののも、おそらく本当にそうなるだろう。
ただ、デジタルラジオ放送は、従来のアナログのラジオ放送とは全く技術的な方式が違い、むしろ、「ワンセグ放送の方式を使い音声だけを流す」というのが一番近い説明になるだろう。
デジタルテレビ放送と同じ高度な方式になるため、ラジオ局には負担が厳しい、大きな設備投資が必要になるのが、難点といわれている。
また、受信機の方も、従来のAM/FMとは全くの別物になり、むしろワンセグ放送や、ドコモが推進しているNOTTVに近いため、ワンセグ兼NOTTV兼デジタルラジオ受信機みたいな製品が主流になりそうだ。
なので、受信機は新たに買わざるを得ないし、ラジオ自体の価格もAM/FMラジオに比べれば高くなってしまうだろう。これも、普及の障害になりえる。
デジタルラジオ「参入希望」65%どまり :日本経済新聞
なので、デジタルラジオって、本当にビジネスとして成り立つのか、雲行きが怪しいのは、部外者として外から見てもずっと感じていた。
実際、このニュースによると、経営基盤がぜい弱なラジオ局が多く、コストがかかり過ぎて、デジタルラジオ進出に消極的な局が多いらしい。
AMラジオ局、FM化検討 デジタル化、聞きにくさ解消 (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
どうするのかと思っていたら、最近、こんなニュースを発見。
なんと!AMラジオを、デジタルラジオの帯域を使って、FMに移行するという案が浮かび上がってきているらしい。
しかも、記事によれば、放送局が勝手に言っているだけではなく、「災害対策も兼ねて、政府も後押しする」と書かれているので、本気の話のようだ。
このサービス移行には、次のようなのメリットがあるだろう。
・電波環境の悪化で、音質や受信状態の劣化が重大な問題で不利な状況にあるAM放送の音質や電波障害を抜本的に改善でき、ステレオ化もできるので、AM局が、既存FM放送と内容で対等に勝負できるようになる。
・VHFの1~3chの帯域でFM変調で流すなら、既存のラジオでも、アナログテレビの1~3chの音声が聞けるタイプなら受信できる。これから開発するラジオも、新しいFM局を聞けるようにするためのコストアップは、ほぼゼロと言っていい。
・配信設備は、枯れた既存のFM局のものを使えるため、放送局側も、設備投資が小さくて済む。
・商品としてのラジオについても、ノイズ対策が大変なAMラジオを切り捨てて、FMラジオのみで商品が成り立つため、ラジオの値段を下げられ、サイズもさらにコンパクト化できる。
・デジタルラジオは、デジタルテレビ同様、遅延が発生するが、FM変調なら遅延が発生しないので、地震などの災害放送でも威力を発揮できる。
・デジタルラジオ放送は、デジタルテレビ同様、コピーワンスやダビング10が運用され、録音が制限される公算が高かったが、FM放送なら、従来通りコピーフリーで録音できる(もちろん、それをインターネットで再配信するのは、これまで通り違法なのでお間違いなく)。
こうしていい点を挙げていくと、デジタルラジオ放送を一から立ち上げるより、極めて合理的なアイデアであり、放送局、リスナーの両方にメリットがある。まさにコロンブスの卵に思えるのだ。
なので、私は、諸手を挙げて賛成したい。
もちろん、問題点が全くないわけではない。
デジタルラジオよりFMの方が1chの帯域は多く必要になるので、放送できるch数は減ってしまう。ただ、この帯域に進出する局をAMだけに絞るなら、AM局を収納するだけの帯域は十分確保できそう。
また、FM局は、現状、県域単位で免許が与えられるため、たとえばAMでは関東広域圏の免許が認められ、放送しているTBSラジオ、ニッポン放送、文化放送などは、エリアを東京だけに限定されてしまうと、ビジネス的に問題がある。
ただ、現状、FM東京などが、東京都域のFM放送免許しか持っていないのに、実質的には、関東広域圏に向けて放送が行われており、Radikoでもそれを反映し、関東全域で聞けるようになっているのは公然の事実。
だったら、AMから進出したFM局に広域免許を許す代わり、既存のFM東京などにも広域免許を許すよう電波法を改正すればいい。こうすれば、FM局にも大きなメリットになるはずだ。
同じ電力なら、AM局より、FM局は(というより周波数の高低が問題なのだが)遠くに電波が届きにくい弱点もあるが、世界一高い東京スカイツリーから電波を出せば、ある程度その弱点をカバーできるだろう。
さらに、現状、AM局は、アンテナ設置場所がばらばらで、相当サービスエリアにずれがあるのだが、それをスカイツリーに集約できれば、各局のサービスエリアはほぼ同じになる。
だとすると、難聴地域用に中継局を設置するときにも、放送局同士で設置場所や設備を共有することも可能になるかもしれない。これも、設備投資をさらに減らせる好材料だ。
それに、それでも届かない人たちのためにRadikoがあるのだから、バックアップも完璧だ。
デジタルラジオなんかより実現性も相当高いアイデアだと思うし、放送局にも、聴取者の両方にメリットがあると思うので、是非とも推進して欲しいな。
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Radikoは、ビジネスモデル上の問題で、エリア制限はあるものの、単なる難聴対策を超える人気を得ている。ただ、これは、あくまで放送の補完が前提だ。
放送自体の改革については、テレビの1~3chのエリアを使ったデジタルラジオ開始というテーマが持ち上がっていた。
誤解している人も多いので、改めて書いておくと、このデジタルラジオ放送は、Radikoのように、ラジオ放送をネットで再配信するものではなくて、電波を使って片方向で放送を垂れ流す、本当の放送サービスだ。
また、今あるAM/FMラジオ放送を、テレビの様にデジタルに完全移行するものではなく、従来の放送を残したまま新たな放送を追加する。
すなわち、AM/FMは、デジタルラジオ放送が始まったからといって、テレビのように停波する訳ではなく流し続けるのだが、デジタルが始まったらアナログは止まると勘違いしている記事も多く、それは完全な間違いだ。
なお、デジタルラジオ放送は新規の放送免許になるので、放送内容も、従来のAM/FMラジオに縛られる必要はなく、全く別の新しい内容のchを流してもよい。
一方、1chを放送するのに必要な帯域は、デジタル化で大幅に小さくなるため、今より多チャンネル放送が可能になるが、おそらく、その中に、現行のAM/FMラジオ放送も、サイマル配信で流されるだろうと言われている。
なので、デジタルラジオ放送で、AM/FMラジオの内容が聞けるようになる、というののも、おそらく本当にそうなるだろう。
ただ、デジタルラジオ放送は、従来のアナログのラジオ放送とは全く技術的な方式が違い、むしろ、「ワンセグ放送の方式を使い音声だけを流す」というのが一番近い説明になるだろう。
デジタルテレビ放送と同じ高度な方式になるため、ラジオ局には負担が厳しい、大きな設備投資が必要になるのが、難点といわれている。
また、受信機の方も、従来のAM/FMとは全くの別物になり、むしろワンセグ放送や、ドコモが推進しているNOTTVに近いため、ワンセグ兼NOTTV兼デジタルラジオ受信機みたいな製品が主流になりそうだ。
なので、受信機は新たに買わざるを得ないし、ラジオ自体の価格もAM/FMラジオに比べれば高くなってしまうだろう。これも、普及の障害になりえる。
デジタルラジオ「参入希望」65%どまり :日本経済新聞
なので、デジタルラジオって、本当にビジネスとして成り立つのか、雲行きが怪しいのは、部外者として外から見てもずっと感じていた。
実際、このニュースによると、経営基盤がぜい弱なラジオ局が多く、コストがかかり過ぎて、デジタルラジオ進出に消極的な局が多いらしい。
AMラジオ局、FM化検討 デジタル化、聞きにくさ解消 (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
どうするのかと思っていたら、最近、こんなニュースを発見。
なんと!AMラジオを、デジタルラジオの帯域を使って、FMに移行するという案が浮かび上がってきているらしい。
しかも、記事によれば、放送局が勝手に言っているだけではなく、「災害対策も兼ねて、政府も後押しする」と書かれているので、本気の話のようだ。
このサービス移行には、次のようなのメリットがあるだろう。
・電波環境の悪化で、音質や受信状態の劣化が重大な問題で不利な状況にあるAM放送の音質や電波障害を抜本的に改善でき、ステレオ化もできるので、AM局が、既存FM放送と内容で対等に勝負できるようになる。
・VHFの1~3chの帯域でFM変調で流すなら、既存のラジオでも、アナログテレビの1~3chの音声が聞けるタイプなら受信できる。これから開発するラジオも、新しいFM局を聞けるようにするためのコストアップは、ほぼゼロと言っていい。
・配信設備は、枯れた既存のFM局のものを使えるため、放送局側も、設備投資が小さくて済む。
・商品としてのラジオについても、ノイズ対策が大変なAMラジオを切り捨てて、FMラジオのみで商品が成り立つため、ラジオの値段を下げられ、サイズもさらにコンパクト化できる。
・デジタルラジオは、デジタルテレビ同様、遅延が発生するが、FM変調なら遅延が発生しないので、地震などの災害放送でも威力を発揮できる。
・デジタルラジオ放送は、デジタルテレビ同様、コピーワンスやダビング10が運用され、録音が制限される公算が高かったが、FM放送なら、従来通りコピーフリーで録音できる(もちろん、それをインターネットで再配信するのは、これまで通り違法なのでお間違いなく)。
こうしていい点を挙げていくと、デジタルラジオ放送を一から立ち上げるより、極めて合理的なアイデアであり、放送局、リスナーの両方にメリットがある。まさにコロンブスの卵に思えるのだ。
なので、私は、諸手を挙げて賛成したい。
もちろん、問題点が全くないわけではない。
デジタルラジオよりFMの方が1chの帯域は多く必要になるので、放送できるch数は減ってしまう。ただ、この帯域に進出する局をAMだけに絞るなら、AM局を収納するだけの帯域は十分確保できそう。
また、FM局は、現状、県域単位で免許が与えられるため、たとえばAMでは関東広域圏の免許が認められ、放送しているTBSラジオ、ニッポン放送、文化放送などは、エリアを東京だけに限定されてしまうと、ビジネス的に問題がある。
ただ、現状、FM東京などが、東京都域のFM放送免許しか持っていないのに、実質的には、関東広域圏に向けて放送が行われており、Radikoでもそれを反映し、関東全域で聞けるようになっているのは公然の事実。
だったら、AMから進出したFM局に広域免許を許す代わり、既存のFM東京などにも広域免許を許すよう電波法を改正すればいい。こうすれば、FM局にも大きなメリットになるはずだ。
同じ電力なら、AM局より、FM局は(というより周波数の高低が問題なのだが)遠くに電波が届きにくい弱点もあるが、世界一高い東京スカイツリーから電波を出せば、ある程度その弱点をカバーできるだろう。
さらに、現状、AM局は、アンテナ設置場所がばらばらで、相当サービスエリアにずれがあるのだが、それをスカイツリーに集約できれば、各局のサービスエリアはほぼ同じになる。
だとすると、難聴地域用に中継局を設置するときにも、放送局同士で設置場所や設備を共有することも可能になるかもしれない。これも、設備投資をさらに減らせる好材料だ。
それに、それでも届かない人たちのためにRadikoがあるのだから、バックアップも完璧だ。
デジタルラジオなんかより実現性も相当高いアイデアだと思うし、放送局にも、聴取者の両方にメリットがあると思うので、是非とも推進して欲しいな。
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