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Mozillaとパナソニックがスマートテレビで提携! [AV機器]

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Mozillaとパナソニックが提携、次世代スマートテレビ向け「Firefox OS」開発 -INTERNET Watch

Mozillaとパナソニックが提携し、次世代スマートテレビ向け「Firefox OS」を開発することが、発表された。

このニュース、一般的に見れば「ふーん」ぐらいの感想だろうが、私にとっては衝撃的なポイントがいくつもあって、大ニュースだった。

私が驚いたポイントを挙げて説明しておきたい。

(1)将来ビエラキャストを捨てるつもりみたい
「スマートTVアプリ」スペシャルサイト | プラズマテレビ/液晶テレビ ビエラ | Panasonic
ここまで、パナソニックは、ビエラキャストという独自のスマートテレビのプラットフォームを開発し、相当頑張って、エコシステムを構築してきた。
ここで、驚いたことに、パナソニックは、最近、ビエラキャストという名称をやめたようで、「スマートTVアプリ」という名称に変えたようだ。
今回の発表は、Firefox OSベースで新たなスマートテレビのエコシステムを構築してゆくことを謳っており、もちろん、従来の「スマートTVアプリ」も暫くは続けるだろうが、いずれは切り替えたいのだろう。
正直、完全に自社に閉じた「スマートTVアプリ」は、いわゆるガラパゴス的ビジネスモデルだったので、アプリ開発ベンダーの参入をなかなか呼び込めず、エコシステムとして廻っていないように見えるが、それでもソニーなどの他社比では負けている印象はなかった。
その状況で思い切って、「スマートTVアプリ」の将来を見切った判断をしたことに、私は驚いた。

(2)WebKitをやめて、Geckoに乗り換えるんだ・・・
米OpenTVと松下電器、次期デジタル放送用ブラウザを開発 - ニュース - nikkei BPnet
パナソニックのテレビ用ブラウザエンジンというと、OpenTV社(旧Spyglass のMosaicブラウザ部隊)と共同開発されたものだったが、
Panasonic Webkit browser hands-on - YouTube
最近、「スマートTVアプリ」は、WebKitベースのエンジンに変更されたと聞く。
また、最近始まったネット連携サービスHybridcastの実行エンジンは不明だが、開発リソースを考えれば、おそらくWebKitベースだろう。
ただ、WebKitについては、最近、AppleがWebKit2で独自路線を突っ走り、GoogleはBlinkに移行するなど、ゴタゴタが相次いでおり、どう落ち着くのか、注目していたところだった。
今回の発表は、パナソニックは、ブラウザエンジンとして、WebKitをやめて、Geckoに乗り換えることを意味しており、これも、思い切った転換だ。互換性については、W3C規格準拠という点である程度保たれているように見えるが、実際には、規格では決めきれないベンダー依存の仕様も多く、パナソニック内でも、同じHTML5ベースでも、ビエラキャストやHybridcastとのアプリの互換性は完全には取れない可能性がある。
そのリスクを乗り越えてでも、ブラウザエンジンを切り替える思い切りに、私は驚いた。
もっとも、ここまで来ると、HTML5よりは、JavaScriptの方が重要で、V8 JavaScript Engineさえ動けば、ブラウザエンジンはどっちでもいいのかもね。

(3)JavaベースのAV機器プラットフォームを捨て去るとは・・・
これまで、デジタル放送の歴史で、放送受信の共通プラットフォームというのは、欧州のDVBという組織が策定したMHPというJavaベースの仮想化プラットフォームが石杖になり、発展してきた。
【CES】松下に続きSamsungもComcastにOCAP対応の次世代STBを納入へ - 家電・PC - Tech-On!
MHPは、米国のCATVなどでも使用され、それなりに普及してきたが、CATVビジネス自体、「Netflix」や「Hulu」に押され、昨今、伸び悩みが顕著だった。
今回の発表は、これまでJavaベースで発展してきた放送受信プラットフォームを捨て、番組表などのすべてのアプリケーションを、HTML5+JavaScriptベースで、構築するFirefox OSに置き換えようという野心的な動きとなる。
新プラットフォームで、従来からあるMHPベースの受信機を今更サポートすることは開発効率上からは考えにくく、むしろ、放送局やCATV事業者には、MHPをやめて、HTML5ベースに切り替えましょう、と提案してゆく心積もりなのかもしれない。
放送設備の開発に深く関わり、影響力があるパナソニックだからこそできることだろうが、そのなりふり構わぬ姿勢に、私は驚いた。

(4)UniPhierも捨て去る気だな
パナソニックのテレビやレコーダーというと、自社で開発したシステムLSI「UniPhier」を使用してきた。この「UniPhier」は、パナソニックのAV技術を集約した優れたLSIであったのは確かで、現在は、パナソニック以外のAVメーカーも広く採用している。
朝日新聞デジタル:ルネサス、富士通・パナと事業統合断念 システムLSI - 経済・マネー
しかし、「UniPhier」は、CPU命令セットも独自のCPUで構成される、極めてガラパゴス的発展を遂げてきたLSIで、最近は、CPUをARMに変更したようだが、昨今のAV家電市場の縮小で、自社開発の維持が難しくなったようだ。
Firefox OSに乗り換えるということは、搭載するLSIも、おそらく、社外の競争力のあるAMDやNVIDIAなどのシステムLSIに乗り換えるという決断をしたということになり、その思い切りに私は驚いた。

(5)これまで推進してきたようにみえるAndroidもやめちゃうの?
KDDIがスマートTVサービスを今秋開始、パナソニックとAndroid搭載STBを開発 | juggly.cn
パナソニックは、これまでAndroidにも相当力を入れてきた。特に、KDDIが初めて、CATV事業に広げようとしているスマートTVサービスは、パナソニックが、Androidベースで開発してきた。
開発途上であるFirefox OS でできることは、おそらくAndroid OSでもできるはずであり、なぜAndroid OSを捨てて、Firefox OSに注力するのか?というのが疑問となる。
これについては、Android OS自体、アプリケーションフレームワークにJavaが組み込まれており、原理的にFirefoxよりリソースを食う上に、頻繁なバージョンアップにより、OSとして肥大化(しかもその大半はスマホ/タブレット端末のため)しており、AV機器のプラットフォームとして採用するには、既に重過ぎる状況なのかもしれない。
また、Android OSの開発の根っこをGoogleが握っている関係で、AV機器向けの機能に関して、パナソニックが主体性を発揮できないのも嫌なのだろう。
そこで、自社主導でAV機器向け機能をFirefox OSに作りこむという、ある意味、AndroidにおけるGoogleの立場、とまではいかないまでも、Samsungの位置を確保し、他社優位性を確保しようという戦略なのではないだろうか。
つまり、これまで、かなり力を入れてきたように見えるAV機器へのAndroid OS採用にも見切りをつけ、思い切って方向転換しようとしているように見える点にも、私は驚いたのだ。

ちなみに、パナソニックの発表では、従来のビジネスをやめてFirefox OSに切り替えるとは、一切言っていないので、その点はお間違いなく。
ただ、長期的に見れば、そんなに色々なプラットフォームで、並行してソフトを開発し続けるなんて、開発効率上もありえないし、いずれは、Firefox OSベースの環境に集約していこうと考えていることは間違いないだろう。

Firefox OS自体の良し悪しについては、私は、不勉強で、それに乗り換えることが彼らにとって最善策なのかは、よく分からない。
ただ、Panasonicぐらいの自力のある企業であれば、足らない必要部分は、自分で補い、完成度を高めていくだろう。
今、最悪の時期から立ち直りつつあるパナソニックのこの決断が、今後、どう製品に反映され、果たして再度復活できるのか、長期的視点で見守りたい。

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