SSブログ

トヨタが発売する燃料電池車「MIRAI」の未来は? [乗り物]

スポンサードリンク



MIRAI.jpg

トヨタ「MIRAI」が圧倒的にすごい2つの理由 | 自動車 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

トヨタが、燃料電池車「MIRAI」を2015年に市販することを発表した。世界初の量販型燃料電池車ということになる。

こういうニュースが流れると、必ず「燃料電池車を最初に開発したのはドイツだ」といった主張とともに、「MIRAI」が技術的に大したものではないと主張する人がいる。
しかし、トヨタが世界初の量産型ハイブリッドカー「プリウス」を発売したときも、全く同じことを言う人たちがいたのだ。

しかし、試作車を作ったことと、実際に製品として量産することは、全く価値が違うこと。
車業界においては、どちらが後世に大きな影響を与えるかは、「プリウス」の例を見れば明白だろう。
ドイツメーカはー、有効な基本特許があるなら、せいぜい特許のライセンス料で儲けてくださいということだ。

私自身、このブログでは一貫して「電気自動車は、解決不能な欠点があり、メインストリームの車にはなりえない。10年後の本命は、燃料電池車だろう」といった趣旨の発言をしているが、この力の入れようを見ると、トヨタも似た考えのようだ。

燃料電池車は、水素を燃料とし、空気中の酸素と化学変化を起こして発電し、その電力でモーターを回して、車を動かす車だ。
化学変化の結果として、水しか排出されず、排気ガスが一切出ないため、究極のエコカーと言われている。

発売は12月15日で、車両本体価格は723万6000円(税込)で、当面、ワンラインナップのみとなる。
実際には、購入補助金が202万円が付き、グリーンカー税制やエコカー減税も活用すれば、実際の支払いは520万円程度となるらしい。
気軽に買える金額ではないが、初代製品としては相当頑張った価格なのだろう。
ただ、本格的普及には、300万円は切らないと厳しいと思われるが、いつごろになるのだろうか?

全長4890×全幅1815×全高1535mmのコンパクトなセダンで、ベースとなるプラットホームに加えて、電気モーターやインバーターなどの電気系統のシステムをプリウスと共通にすることで大幅にコストを下げたそうだ。
外観は、優しい顔をしたプリウスと違って、たくましいフロントビューをしており、この辺は好みが分かれそう。
個人的にあまり好きではないが、何だかアメリカ人なら好みそう(笑)

試乗レポートを読むと、既に普通の車として違和感なく乗れるようだ。
そりゃそうだ。発電部分を除けば、電気自動車とほぼ同じなのだから。

一方で、運転者用のコンソールの機能は、プリウスを基本としているようで、HUDのナビとか、オートクルーズといった未来的機能までは搭載されていないのは残念。価格的な問題もあるとは思うが、オプションでいいから、こうした方向の「MIRAI」的な装備にも力を入れて欲しかったな。

FCV.jpg

ホンダが新型燃料電池車「FCVコンセプト」を公開 [HONDA(ホンダ)] All About

一方、かつては技術的に一番先行していると言われていたホンダは、燃料電池車「FCVコンセプト」を2015年度(ということは2016年3月)に発売することを表明した。
現時点では、それが精一杯ということで、実用化の段階で一気にトヨタに逆転されてしまった。

よく技術のホンダって言われるが、こうした技術分野では、押しなべてトヨタの後追いになってしまっている。
ハイブリッドカーだって、プリウスで先行されたホンダがリリースしたのは、インサイトという車。
方式的も、トヨタに比べてコスト重視で、エネルギー効率は劣り、それを、二人乗り限定で車体を極端に軽くすることで、カタログ燃費だけはプリウスに勝つという一点突破で対抗したが、そこには顧客視点は一切なく、世界を代表する自動車メーカーとしては、非常にみっともなかった。

今回のFCVコンセプトについても、トヨタが、燃料電池専用の最適レイアウトを実現するために、専用車体を開発したのに対し、ホンダは、普通のクルマのエンジン搭載位置に燃料電池車の基幹部品を格納し、既存のガソリンエンジン車の車体をベースに、燃料電池車を開発できることを重視した。
それ以外は、ハイブリッドカーの時のような大きな技術的な差はないらしく、1年の発売遅れが、どう影響するかが、ホンダにとっては一番の問題になりそうだ。

さて、燃料電池車は、私は10年後に一番有力な方式だと思っているが、もちろん、話は単純ではなく、問題は色々残っている。

(1)まず、どうやって燃料の水素を大量に低価格で生産するのか?

単純な話、電気分解で自ら水素を生成したのでは、燃料電池として発電力する以上の電力を、製造段階で使ってしまい、燃料電池のメリットを帳消しにしてしまうからだ。

4. 燃料電池用の水素を製鉄所が供給する:三菱電機の省エネ対策

これに対しては、製鉄所において、これまで製鉄炉で無駄に排出されてきた排熱を利用した水素製造方法が有力視されている。
製鉄炉では、鉄鉱石を高熱にして溶かし、不純物を取り除く精錬と言う作業を行うが、この際、一酸化炭素と水素が発生する。これに水蒸気を加えると、一酸化炭素と反応し水素が発生する。
この際必要な熱は、すべて炉の排熱で賄えるため、低コストで水素を製造できる可能性があるそうだ。
製鉄所がある国でしかできない方法なのも、日本には有利だな。

(2)水素をどうやって運搬するのか?

貯蔵・輸送・ハンドリング技術 |イワタニと水素技術 | Iwatani-水素とイワタニ

液化については既に実用化段階。イワタニは、LPガスのトップ企業だけに、この辺の技術はお手の物なのだろう。
今後は、密度を上げるため、水素貯蔵合金に吸着させる方法なども考えられており、この方面は大きな問題はなさそうだ。

(3)水素スタンドをどうやって増やしてゆくのか?

電気スタンドに比べて、安全性や配給の面から、充電スタンドのように商業施設などの駐車場に設置するのは難しく、スタンド設備も電気スタンドに比べてかなり高額になる点は不利だ。
一方で、充電スタンドが、30分に1台しか販売ができず、得られる収入もガソリンから一桁少なのに比べると、水素の充填はガソリン並みの3分程度で済み、価格も当面はガソリンに比べて大幅に安くなることはないことから、土地面積当たりの販売効率は、電気自動車よりはるかにいい。
一長一短と言うことで、水素スタンドが急激に増えることは難しいかもしれないが、多分に今後の政府の政策的にも左右されるだろうな。

(4)交通事故で車が爆発したりしないのか?

これについては、可能性が全くないとは言えないが、ガソリンだってリチウムイオン電池だってLPガスだって、単体では決して安全でないものを、外装や安全装置などで安全性を上げて実用にしているのであって、それは水素燃料についても同じである。
なので、個人的にはあんまり心配していない。

(5)水素燃料は、ガソリンより安くなるのか?

水素の商用販売にあたって、1km走るごとの水素の価格を10円と定める方針となったため、MIRAIでは満タンで6500円と、700kmという走行距離を考えれば、ガソリンより少し安い程度。電気自動車だと自宅の充電なら一桁安いのに比べると、あまり割安感はない。
ただ、現時点で(1)で書いたような大規模な水素製造プラントはまだ立ち上がっていないため、市場が拡大すれば、今後の低価格はある程度期待できそうだ。

我が家では、基本、車は新車で買って9~10年乗ることにしているので、次回の買い替えは、約7年後。
その時までに、燃料電池車が、気楽に買えるほど安くなっているとは思えないのは残念だな。
その後もう一度、車を買い替えるタイミングがあれば、その時は、燃料電池車が買えるといいな。

関連記事:
次に車を買うときには燃料電池車が買えるか?:トドのつまりは・・・ V2:So-netブログ





ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ



スポンサードリンク




nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。