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TPP交渉の大筋合意について(1) [金融・経済]

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TPP大筋合意…交渉5年半、巨大経済圏誕生へ (読売新聞) - Yahoo!ニュース

【悲報】日本、TPPの全分野で譲歩 | にゃあ速報VIP

TPP交渉が、大筋合意したそうなので、知りえた情報から思うことを少し書いておきたい。

1.著作権の「非親告罪化」「死後70年」

TPP合意の大きなポイントとして、まず、著作権の「非親告罪化」「死後70年」がある。

以前にも、このブログでは、著作権の延長には賛成と書いてきたが、合意できて喜んでいる。
この延長を「ディズニーのため」と揶揄されるが、長期的に見れば、早めに期限が切れる米国コンテンツより、今はほとんど海外で儲けられていない日本のコンテンツ産業の有利になると考えるからだ。

ただ、安倍政権の政策では、コンテンツを海外に流通させる人たちが大儲けできる仕組みづくりには熱心だが、それだけでは、一時衰退したディズニーの轍を踏むことになる。
世界からの儲けをしっかりコンテンツ制作に回して、優秀な人材が集まる仕組みを作り上げ、今後も面白いコンテンツが生み出されるエコシステムを作り出して欲しいところ。

また、併せて旧連合国に対する「戦時加算」と呼ばれる保護期間の上乗せ(約10年)が撤廃されるのは、戦後の負債がようやく一つ解消された気分だ。

一方、期間が延長されると、作品が再評価される機会が減り、埋もれた名作が発掘される機会が減るという意見もあるようだが、それは国内法で定めるときに、例えば死後50年を超える著作物については、申し出のあった著作物のみを70年に延長するような規定するなどの工夫を行えば、上の問題は回避できるはず。

著作権保護期間の延長報道に「青空文庫」が声明 現在公開中の本も「棚から消されてしまう」 : J-CASTニュース

保護期間が終了した著者の作品を随時公開してきた「青空文庫」の活動は、停滞を余儀なくさせられるのは確かだろう。
ただ、少なくとも、彼らが主張するような既に著作権切れとなった著作物が、遡って著作物に戻り「青空文庫」から削除せざるを得ない事態は起きないだろう。映画について確固たる判例があるからだ。

著作権侵害の非親告罪化については、著作者の告訴不要で警察による捜査が可能になる点が、気がかりだ。
日本の警察は、恣意的な裁量で、別件の容疑で被疑者を拘束したいときに、平気で「立ちション」でも逮捕拘束することが、事実上許されており(ちなみに、これが公然と行われるようになったのは、オーム真理教事件以降である)、今回の法改正でもどういう基準で警察が捜査を行うのかが気になるところだ。

よく言われるように、同人誌の2次創作やコスプレなどは、警察がどう扱うのか明確にする必要があるだろうし、パロディなどに対するフェアユース規定の明確化も必要になるだろう(できれば、ここは米国並み明確化と緩和が欲しい)。

一方、2次創作については、例えば音楽の分野では、引用に関して当初グレーな曲が多発したが、いくつかの判例を経て、引用についてのルールや利益配分規定が明確化された。
漫画の世界でも、アマチュアといっても商業規模の同人誌もあり、そろそろ、音楽界に倣ってルールを明確化すべきだ時期だと思う。

アマチュアの活動を阻害する、という意見に対しては、例えば売り上げの規模で線引きして免除すればいいと思う。頭から、それに反対するのは、単なる甘えでしかないと思う。

あと、影響がありそうなのが、動画共有サイト。これまでは、著作権者の申告に基づいてしか、違反コンテンツの削除が行えなかったが、TPP発効以降は、共有サイト側の判断でも削除できるようになるはず。

TPP加盟国で、きちんとした著作権処理がなされるよう法制化が進み、それが守られないときに法的に訴える制度も整備されることを考えれば、それだけでも日本にとっては有利な材料も多いだろう。

ルールが変わるのなら、それを最大限生かすビジネスを考えるのが企業人であり、単に現状より不利になると思う点しか考え付かないようでは、これからのグローバル社会では生き残れないんじゃないかな。

(追記)
超ざっくり! TPP著作権問題の現在地点 -INTERNET Watch

著作権問題では一番の権威である福井弁護士が、こちらの記事でTPPに関して解説なさっているが、私の書いたことに誤りや漏れがあったので修正したい。

まず、解消されると書いた戦時加算についてだが、TPP条文のどこにもそんな文言はないそうだ。私も騙されたが、今後の2国間交渉の結果次第ということになるらしい。

それから、大事なことを書き忘れたが、新たに音や匂いの商標権の整備については、音の商標については合意され、匂いの商標については努力義務に格下げされたそうだ。
日本でも、すでに今年の4月から音の商標登録が可能になったが、匂いの商標については未定みたいだ。
なお、今回認められたのは音の著作権ではなく商標の登録であることに注意したい。
例えば、新興産業「パッとさいでりあ」というCMソングの著作権者は、あくまでも、作詞作曲編曲し自ら歌っている小林亜星にあるはずだが、新興産業が、この曲の商標登録をしておけば、自社の商品の宣伝に独占して使う権利を得ることができる。

また、例えばWindowsの起動音のように、フレーズが短すぎて音楽としての著作権は認められないが、商標登録としては認められるケースもあるだろう。

商標は、著作権とは全く異なる権利なのだが、「このフレーズは、どこそこのメロディに似ている」みたいな生半可の知識で、炎上させる輩が出てきそうで、今から悪い予感がするな。

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