電力自由化とガス自由化は何が違うのか？

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ガス自由化とは？仕組みやメリットをわかりやすく解説｜エネチェンジ

電力小売りの自由化が決まった時に、電力会社側から「それならガスの販売も自由化しろ！」と文句が出て、決まったガスの小売り自由化だが、電気とガスで対等な話に見えて、詳しく見るとだいぶ違うところがあるのが分かる。

・今回販売が自由化になるのは都市ガスで、LPガスは既に自由化されている
LP（プロパン）ガスが自由に会社を変えられないと思っている人は、自分が使用しているLPガス会社に洗脳されていると思っていい。ただし、個々の家にガスボンベを設置するのではなく、エリアでまとめてLPガスを供給している集中プロパン方式の家の場合は、簡単には一人だけ業者を変えることができないことがある。

・都市ガスの配給エリアは電力の配電エリアより大幅に狭い
既に地域の都市ガスを引いている家であれば、2017年4月以降、新たな都市ガス供給会社に移りたければ、費用負担なしで移ることができる。ただ、都市ガスの配給エリア自体が、地域電力の配電エリアに比べれば大幅に狭いため、このメリットを受けられる消費者は、電力に自由化に比べれば大幅に少ないことになる。

・LPガスを使用中のご家庭は、新たな都市ガス事業者に簡単に乗り換えられる訳ではない
現在、都市ガスのガス管が通っていないエリアの家は、LPガスを使用していると思うが、LPガスを使用している家が、新たな都市ガス事業者に変えたければ、まずは、既に埋設されている近隣の都市ガスのガス管から、自宅までのガスの配管を自己負担で引く必要がある。その費用は、家の前の道路に配管が通っていたとしても数十万円、配管まで遠ければ数百万円のオーダーで掛かり、その費用は決して安くはない。

・都市ガスのエリアでも自由化が遅れるエリアが出てきそう
大手電力会社は、すべての配電網が繋がっていて、送配電の分離が容易だったが、都市ガスに関しては、大手都市ガスであっても配管がエリア内を網羅されている訳ではなく、ガス導管はかなずしも一つに繋がっておらず、配電、給電の分離のようには、配ガス、給ガスの分離は簡単ではないらしい。

・ガス検針は当面検針員によるチェック体制のままらしい
電力自由化の際は、電力計をスマートメーターに置換え、自動検針を行えるようなった。
ガス自由化で検討される自動検針｜自由化に伴うガス会社の家庭向けガス料金比較 | エネニュー
しかし、ガス自由化に際しては、ガス会社の事業規模が小さいこともあり、スマートメーターへの交換は行われない。当面は現行ガスメーターのまま、検査員による検針が続くことになる。
将来的には、ガスの自動検針も行う意向だが、コスト削減のため、すでに設置された電力のスマートメーターに検針データを送って、スマートメーターが代わりにセンターに送る方式も検討しているらしい。

・新しく参入する都市ガス事業者の顔ぶれは、電力事業者とあまり変わり映えしない
都市ガスの自由化に際し、新たに登場する価格競争力のある事業者としては、自社の発電のために天然ガスを低コストで大量に輸入できている大手電力会社、そして、既に電力自由化にも参入している大手石油会社などが、有力視されている。それ以外は、あまり価格競争力がある事業者は登場しないだろう。

・省エネ設備や省エネプランについても動きがありそう
電力会社は、これまで、オール電化プラン＋エコキュートを重点的に押してきたが、ガス自由化で、ガスとのエネルギーミックスでコストを最適化するプランや省エネ設備も提案していかざるを得なくなるだろう。

ということで、来春の都市ガス自由化の恩恵を受けられる家庭は、電力自由化に比べると少ないため、まずは、ご自分の家が、都市ガス自由化の恩恵を受けられるのかどうかを確認することが必要だろう。

その上で、先行する電力自由化で顧客を失った電力会社が、ガス料金でどうやって対抗してくるのかが見物だろう。

なお、電力の場合、電気を貯めるのが難しいため、深夜電力を安くする料金体系などがありえたが、ガスの場合、貯めているものを需要に応じて流すだけなので、時間帯で料金を変える意味があまりない。

なので、おそらく電力会社としては、昼間のピーク電力は抑えてガスを使ってもらい、夜は安い深夜電力を使うようなエネルギーミックスができる料金プランや省エネ給湯器なども考えているのではないだろうか。

ガスも供給し始める電力会社が、この辺の施策をどうする気なのか、興味あるな。

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