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2時間のサマータイムなんて出来るはずがないのに [企業・ビジネス]

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サマータイムで日本どうなる? 朝起きたら「真っ暗」 - FNN.jpプライムオンライン

最近、2020年の東京オリンピックに向けて、酷暑対策として、夏の時間を2時間進めるサマータイムが検討されているらしい。

東京五輪組織委員会・森喜朗会長が、「政府として取り組める一番やりやすいというか、やってほしいのはサマータイム」などと、その実現性について何も考えないまま、発言したたため、様々な議論を巻き起こしている。

反対意見としては、

・オリンピックのたった2週間のためだけに、2時間早起きするのか?
・急激な生活習慣の変更は、体調にも影響がある可能性がある
・今年の夏を例にとると、2時間早めても、気温は1度しか下がらず、ほとんど効果がない
・様々なシステムの時計の変更が大変になる可能性がある

といったことが挙げられている。

私的には、最後の様々な情報システムや、時計内蔵の製品の対応というのが、2年という期間的にも、対応コスト的に見ても、絶対に不可能であり、したがって、2時間のサマータイムなど実現できるはずがない、と思っているのだが、産業界から反対の声があまり聞こえてこないのが不思議でならない。

まず、サマータイム自体は、OSレベルでは、世界時計をサポートするWindowsやLinuxなどでは、OSとしてサポートされており、日本でも対応すること自体はほとんど問題がない。

一方、家電製品などに使われるT-kernel、VxWorksなどの組込みOSでも、今は、世界時計のサポートは当たり前であり、サマータイムにも対応しているのだが、古いバージョンは必ずしもそうではなく、サマータイムは対応していない可能性がある。
しかも、組込みOSは、古いバージョンのOSが更新されることなく、今も動き続けており、それを更新すること自体が不可能であったりする。

それどころか、今回検討されているサマータイムは、2時間のシフトだ。
現状、2時間シフトのサマータイムは実施されている国はなく、WindowsやLinuxは一応2時間シフトでも動くらしいが、それ以外のOSとなると、おそらくテストもされていないし、対応できない可能性もあるだろう。

しかも、OSがサマータイムに対応していたとしても、問題はアプリケーションレベルの対応だ。

例えば、私が知っている分野の一例だが、デジタルテレビやレコーダーは、まず対応できないと断言する。

一応、デジタル放送の規格的には、サマータイムを日本でも実施した場合に備えた規格が規定され、一応テストストリームなども作成されており、大手家電メーカーであれば、それらに基づきテストを行っているはずだが、これが後から参入した中小ベンダーや、海外ベンダーだと、そこまで作り込んでいるかは不明。

また、作成されたサマータイムのテストデータも、記憶では1時間のシフトまでであり、2時間のテストデータが存在した記憶がないので、大手家電メーカーでも2時間シフトのサマータイムが動くという確証のある会社はないと思う。

テレビで、サマータイムが一番問題になるのは、サマータイム開始時と終了時の切り替わりだ。
「サマータイムの開始と終了時刻に跨いで、番組を放送しない」という運用は徹底するとして、それでも大問題がある。

まず、番組表の表示が対応できない。
サマータイムの開始と終了時には、番組表の表示で、同じ時刻が2つ続けて存在したり、逆に、切り替えの時刻で、番組表の時刻が飛ぶことになる。
今あるテレビやレコーダーは、しっかり規格通り実装されていれば、そのような例外的状況でも問題なく番組表が表示されるはずだが、それでも対応するのは1時間しか考慮していないはず。
それしかテストデータがないからだ。

もし、2時間シフトのサマータイムを実施したら、番組表の表示がおかしくなる可能性が高いのは当たり前だが、それどころではなく、想定しないエラーにより番組表やその他の機能も動作しなくなる可能性がある。

レコーダーの予約録画も、2時間シフトした場合の動作など、誰もテストしてないので、保証できないはず。

しかも、既にサポートが終了しているようなAV製品を、皆、まだたくさん使っているはずで、これをメーカー側費用負担で対応するのは、メーカーとしては不可能であると言える。

もし、2時間シフトのサマータイムが強行されたら、おそらく、各メーカーのサポート窓口は大混乱に陥るだろう。

しかも、これは、テレビやレコーダーというごく一部のジャンルで起きる問題の例を挙げたに過ぎない。

時計を手動で設定し直せばいいという製品なら、サマータイムに対応するのも大した問題ではないだろう。
しかし、現在の時計内蔵製品では、次のような自動補正機能を持つ製品が結構多い。

・インターネット経由のNTPサーバにアクセスし時刻を補正する
・長波の標準電波を受信して時刻を補正する
・携帯電波のNITZ受信により時刻を補正する

こうした製品において、サマータイムの開始時、終了時に何が起きるかを、網羅的に調査した上で、

・どこまで、サマータイムに対応するのか?
・いつまでに、サマータイムへの対応を完了させなければいけないのか?
・サマータイムへの対応が、技術的に可能なのか?
・もし対応が可能だとして、対応するなら、誰がその費用を負担するのか?

こうした疑問点をすべて明確にする必要がある。

サマータイムなんて、時計をずらせばいいんだろ、ぐらいにしか思っていない文系人間に対し、どれだけそれが大変なことなのかを、しっかり産業界は説明をすべきなのだ。

自己負担で、こうした製品のサマータイム対応をやらされることになったら、産業界にとっては大打撃なのだから。

もし、「情報システム分野で、サマータイム対応で特需があるかも」と期待して、大手電機メーカーが何も言わないのであれば、それはあまりに視野が狭すぎる。
もっと素早く、真剣に反対の声を上げるべきだ。

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まっくんち

テレビ・タイマーよりも、金融システムの対応が最も深刻であろうと思われます。

産業界としては、間違っても導入はされないと考えられているのでは。

標準時間はそのままで、競技開始時間や役所・企業・学校は始業時間を2時間早めるだけでよいのではと思いますが・・。
by まっくんち (2018-08-20 12:32) 

naniwa48

まっくんちさん、こんにちは。
>テレビ・タイマーよりも、金融システムの対応が最も深刻であろうと思われます。
そうなんですか? 今の金融サービスって、グローバルでの取引が大前提なので、サマータイムへの対応はとうに組み込まれていると思っていました。それに、もし非対応部分があったとして、その改修費は金融業者側負担ですからね。
第一義的には、産業界の問題ではないかと。

>標準時間はそのままで、競技開始時間や役所・企業・学校は始業時間を2時間早めるだけでよいのではと思いますが・・。
これについては、全く同意です。多大なコストを払って、サマータイムに対応する意味が分かりませんが、森さんには絶対に伝わらないんだろうなぁ。

by naniwa48 (2018-08-20 22:05) 

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