電子マネーって、何で儲けているのかを、少し考えてみた。
電子マネーは、クレジットカードとは違って、キャッシングのようなオイシイでサービスはないので、基本、電子マネー使用時のお店などが払う決済手数料が主な収入源になるはず。
しかも、その使用料は、クレカに比べると、安く抑えられているはずだ。そうでないと、各店舗などで、電子マネー払いの条件を、現金と同等にすることができなくなってしまうからだ。

まずは、鉄道系の電子マネー。
Suicaなどの鉄道系の電子マネーは、基本、クレカから、または、駅などで現金をチャージして使うのが基本だ。

昔からあるJRの回数券の値引率は約9%。
SuicaでJRを利用したときのポイント還元率はたったの1.5%
Suicaの設備の減価償却もあったが今はもうそれもゼロに近いはず。
だったら、昔なら回数券の値引率を想定していた前払い利用者が、1.5%の値引きで済んでしまうのだから、鉄道事業者から見れば、使ってもらえればもらうだけ大もうけだ。
Suicaの鉄道外での利用も増えているとはいえ、9割ぐらいは鉄道での利用だろうから、使ってもらえればもらうほど大もうけ。
クレカでのオートチャージの際の入金手数料も、基本自社のビューカードからのみなので、手数料は内部で調整すればいい。
だから、Suicaのような鉄道系の電子マネーが儲かるのはよくわかる。

それに比べると、Edyって、どうやって儲けようと思っていたのか、全くわからない。
Edyって、小額決済専用でサーバに決済のための通信を行わないことで、クレカより迅速でローコストに決済ができるのが売りだ。
したがって、Edyの決済手数料も、当然、クレカよりかなり安いことも売りになる。

ところが、Edyは、自社系列以外の一般のクレカからチャージできるものが多数ある。
クレカの決済手数料はEdyの決済手数料より高いから、もし、すべての人がEdyへのチャージを、楽天カード以外のクレカから行ったら、間違いなく赤字で、すぐに倒産だ。

実際には、他社のクレカからチャージする人がそれほど多くないから、何とか成り立っているが、収益構造の点で根本的な矛盾を抱えているのは確かだ。
ソニーが、独立会社として株式公開できるようになる前に、Edyを手放したのは、おそらくこの辺のビジネスモデル自体に大きな欠陥があったからではないか。

そのためか、EdyはSuicaと違ってクレカからのオートチャージができない。
技術的にはできるのだろうし、利便性を考えればやりたいだろうが、積極的に一般のクレカからチャージされるほど、経営が苦しくなってしまうからだろう。

WAON,nanacoなどの流通系電子マネーも、Edyと同じような低収益な弱みを持つが、それらは、あくまでグループ内での利用が基本であり、WAONであればイオングループの、nanacoであればセブングループのビッグデータ解析のツールとしての価値がある。
また、チャージも店頭での現金が基本で、Suica同様、クレカからのチャージも系列のカードのみからしかできないから、ビジネスモデルとしてはEdyのような矛盾がない。

Edyは、本丸が金融事業ではなかったソニーが始めたことで、多種多様の幅広い業種には広がり、チャージできるクレカも多種多様なのだが、逆に、それが足かせになってしまっている。

ソニーは、結局、Edyを黒字化できないまま(と言われている)、楽天に手放したが、楽天も、楽天市場ではEdyが使えないし、これまでリアル店舗に手を出してこなかったがゆえに、Edyのビッグデータを自社のビジネスに有効に生かす機会がなかった。

さらには、楽天がTポイントへの対抗で、リアル店舗で楽天スーパーポイントが使えるようにする必要性から、新たに「楽天Rポイントカード」を作ってしまった。
これは、リアル店舗でも、楽天スーパーポイントを使ってもらい、また、楽天スーパーポイントを貯めてもらうようにしたいという、明確な意思表示だ。

こうなると、楽天内で、Edyの使い道がますますなくなる。
楽天でも、いよいよEdyがお荷物になりつつある気がするな。

関連記事:
「リクルート」と「Ponta」のポイントサービスが統合:トドのつまりは・・・ V2:So-netブログ




人気ブログランキングへ