もちろん、全国に基地局を網羅するには、時間もお金もかかる筈なので、おそらく現状のドコモMVNOの立場は維持しながら、トラフィックの多い都市部の基地局整備を優先して、徐々に自社網に切り替えていく計画なのだろうと思われる。
楽天が今参入するメリットとしては、既存キャリアのように3Gをサポートする必要がなく、これから新たに設置する基地局は、製品化間近の5G/4G LTE両対応の基地局を整備すればいい。今の段階で5Gに対応可能な装置にしておけば、そこから先はネットワーク技術の大きな更新はしばらくないため、今なら投資効率がいいということなのだろう。
楽天では、参入予定の2019年から7年間分、1年あたり、1000億円弱の投資計画を明らかにしているが、これはNTTドコモの1/7程度の非常に小さな規模となっている。
楽天としては、現在、MVNOとして事業が成り立っているので、そこから無茶をせずに7年間かけて、徐々に通信キャリアとして独立する計画なのだろうと思う。
などと、楽天に対して好意的に解釈していたら、こちらの報道を発見。
楽天「携帯電話の基地局を整備するから大手3社は鉄塔などを格安かつ迅速に貸せ」 | BUZZAP!(バザップ!)楽天が、1.7GHz帯および3.4GHz帯の割り当てに関する意見募集に対し、「既存事業者が割り当てを受けるのであれば、新規参入事業者に対して基地局鉄塔などをより低廉かつ迅速に貸し出せ」という意見を提出しているそうで、もし、本当にそれをあてにしているなら、がっかりだ。
さらに、全国区ではドコモのMVNOとしてサービスを提供しつつ、都市部などでは自前のネットワークに繋げるなら、加入者管理機能と呼ばれるHSS/HLRをドコモに開放してもらい、楽天が自らそれを運用する必要があるが、現状、ドコモのHSS/HLRはIIJにしか開放されていないため、それを楽天にも開放するよう、今後、ドコモとの交渉を進める必要がある。
楽天では今後通信キャリアとしての新会社を設立し、2019年中のサービス開始を予定し、1,500万契約以上のユーザー獲得をめざすそうだが、通信キャリアという、物理的な網整備が必要なビジネスが、楽天が思う程、儲かるビジネスなのかは微妙だろう。
今の楽天に基地局設置のためのノウハウもないから、鉄塔を貸してくれ、との身勝手な発想も出てくるのだろうし、果たして事業計画通りに進められるのか? 疑問に思えてきたので、しばらくは様子を見極めながら加入するかどうかを検討していきたい。
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