また、2つのHomePodを並べ、それぞれを連携させてステレオで音楽を楽しむ機能も備える(後日、アップデートにより対応)そうだが、これはソフト的な機能なので、他社もやれば追従できないことではない。
さらに、アップルが提唱するスマートホーム機器の規格「HomeKit」に対応したIoTデバイスを音声でコントロールする機能もあり、ワイヤレス照明「Philips Hue」などを制御することも可能だそうだが、同様の制御ができるAmazon Echoなどと差異については不明。
しかも、ここでも、アップルは独自規格で囲い込む姿勢は変えないらしい。
それでも、アップルファンはついてきてくれるという自信があるのだろうな。
「Siri」を使って、音声でメッセージを送ったり、ニュースやスポーツ、天気、ポッドキャストなどを聞くことも可能とのことだが、おそらく基本はiPhoneの「Siri」で出来ることがベースになる筈だ。
「HomePod」の設定は、iPhone 5s以降やiPad Pro、iPad Air以降のiPad(iOS 11.2.5以降)を利用して行うようで、Android端末やWindows端末からは使えないみたいだ。
この辺からも、「HomePod」は、家の中のデバイスをアップルで統一しているコアなアップルファンをターゲットにしていることが分かる。
鍵となる「Siri」に関しては、音声認識エンジンの先駆けではあるが、あまりその先行者利益をうまく活かせたとは言えず、正直、技術的にはGoogleアシスタントに抜かれた印象が強い。
日本語版「Siri」の開始が遅れた理由としても、日本語の特殊性もあるだろうが、Siriサーバを日本全国のiPhone、iPadで利用できるよう整備するのに、時間もお金もかかったため、という話も聞く。
実際、アップルにとっては、現状、Siriサーバの整備費用は、それ自身はお金を生み出さないiPhoneなどの販促費用でしかない。
それに対して、Googleアシスタントは、Android端末だけでなく、Googleのクラウドサービスと密接に結びつき、それを拡充するためのフロントエンドとして機能しているし、Amazon Alexaも、Amazonのショッピングサービスへ利益をもたらすものとして位置づけられており、スマートスピーカーという製品以外からも、利益を生み出せる強みがある。
逆に、アップルにはそれがないのが弱みとなっている。
アップルの強みというと、まずはiTuneとiTunes Storeのコンテンツ配信なので、「HomePod」も、まずは定額音楽配信の「Apple Music」の魅力を増すための音質強化が、まず重要と考えたのだろう。それが、商品の一番の特徴づけとなっているようだ。
となると、次のステップとしては、AppleTVと連携して、音声認識で動画コンテンツの検索や再生が行える機能を、追加することになるだろう。
ただ、それだけでは、AmazonもGoogleも既にやっていることであって、アップルだけの強みはあまりない。
唯一あるとしたら、ポッドキャストを「HomePod」で聴けるらしいことで、長年iTunesは、ポッドキャスト配信を手掛けてきて、現状、世界で唯一の配信サービスとなっているだけに、これが聴けるなら他のスマートスピーカーにはない強みかも知れない。
ただ、アップル自体、最近はポッドキャスト配信に力を入れているようには見えず、特に日本ではTBSラジオがポッドキャスト配信から撤退して以降、ポッドキャストへの注目度も下がっている。
逆に、ポッドキャストをやめたTBSラジオは、その代わりに始めた「ラジオクラウド」というサービスを、Amazon Echoで聴けるスキルを既にリリースしていたりもする。
Google Play Music でポッドキャストを聴く - Google Play Music ヘルプさらには、Googleも、Google Play Musicでポッドキャスト配信の試行を始めており、これが「Google Home」からもコントロールできるようになれば、アップルの唯一と言っていい他社にない機能も、すぐに追いつかれてしまうかもしれない。
そう考えると、「HomePod」の未来は前途多難と言わざるを得ない。
それでも、アップルウォッチも喜んでで買うような熱心なアップルファンは、買うんでしょうけどね。
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