ちなみに、2023年5月ぐらいに出ると言われている新型ムーヴに対しても、e-SMART HYBRIDが搭載される予想している配信主もいるが、これも、同様の理由で可能性はゼロに近いと思う。
新型シエンタのHVモデルに、バイポーラ型ニッケル水素電池が搭載されるおそらく、新型シエンタが、先代同様、現行アクアのプラットフォームをベースに開発されるのは確実だったので、現行アクアで搭載された、高出力のバイポーラ型ニッケル水素電池を、新型シエンタでも、当然、搭載するはずだと、安易に予想したのだろう。
これに関しては、新型シエンタが発売さえた後でも、バイポーラ型を搭載しなかったことに対し、トヨタのエンジニアをDISる馬鹿評論家もいるぐらい。
こういう人たちは、バイポーラ型というのが「高出力だ」という効果しか理解していなくて、それがどうやって実現されているか技術的な内容について、全く理解していないらしい。
まず、バイポーラ型ニッケル水素電池とは、ニッケル水素電池の化学的な仕組みに新しさがある訳ではない。
従来、ニッケル水素電池を積層する場合に、電池セルのパッケージ単位で積層していたのを、セル間のパッケージをなくし、直接電極間で電池を積層してパッケージ化する技術だ。
それにより、電池の内部抵抗を減らせ、出力を上げられるほか、同じ電力容量に対し、軽量コンパクト化ができる効果がある。
現行アクアの場合、この電池を後部座席の下に搭載した。後席のスライドはできなが、コンパクトハッチバックなので、さほど欠点になっていない。
しかし、新型シエンタは、3列シートのコンパクトミニバンだ。
2列目シートの前後スライドは必須だし、シエンタの特徴として3列目シートの床下格納は実現したいだろうし、2列目、3列目を畳んでフルフラットにもできないと、売れない。
だとすると、アクアのように2列目シートの下に分厚いバイポーラ型ニッケル水素電池を設置することなど不可能。
新型シエンタの低床構造を実現するためにも、バッテリーは床に薄く広く配置するしかないだろう。
ここで、バイポーラ型の技術的なポイントが分かっていれば、新型シエンタに搭載するニッケル水素電池をバイポーラ型にする意味がないことは明白だ。
バイポーラ型とは、パッケージ内で電池セルを多数積層してこそ意味がある技術であり、薄く敷き詰めるためにセルが積層出来ないのであれば、採用する意味は全くない。
自動車評論家なら、そのぐらいの技術的な理解はした上で、論評して欲しいものだ。
私自身は、新型シエンタが、バイポーラ型ニッケル水素電池を搭載するという予想を動画などで見ても、上に書いた技術的な理由を理解していたから、そんなことありえないし、メリットもないだろう、と思っていた。
このようなデタラメな予想については、他にもいくつも取り上げることができるが、それだけでは、「後出しジャンケン」と言われかねないのも確かだ。
そこで、最後に、まだ確定していない新型フリードの予想情報のデタラメさを分析しておこう。
それが、どちらが正しいのかは、実際に新車が出てから分かるだろうから、その時まで覚えておいて欲しいな。
その予想情報とは、つぎのもの。
新型フリードは、カーゴルームの下に3列目シートに収納可能になる新型フリードは、そのために全長を30mm延ばし、シートを床下に格納できるフレーム構造の新プラットフォームを開発するという予想情報だ。
3列目シートが、荷室床下収納になるというのは、ステップワゴンがそうだから、というのが根拠なのだろう。
しかし、全長がはるかに長いステップワゴンにくらべ、たった30mm延ばしただけで、3列目シートが格納できるようになるかは、大いに疑問。
出来たとしても、座面は浅くなり、背もたれは今より背が低くなりそうだ。
また、そのために新プラットフォームを開発するというが、プラットフォーム化は幅広い車種で利用してこそ意味があるから、これまでも、プラットフォームの刷新は、グローバル車種のフィットで開発し、それを他に展開してきた。
それを破って、国内専用車種のフリードのためにプラットフォームを開発する、と言ってしまうこと自体が、何もわかっていない人なんだな、ということが分かる。
また、狭い荷室にシートを床下収納できたとしても、その場合、4WDモデルはどうするのだろう?
ガソリン車ではプロペラシャフトを置けなくなるし、HV車でも後輪モーターが置けなくなる。
床を大幅に底上げするぐらいしか手はないだろう。
技術的な観点だけで考えて、これだけ実現性に疑問性があるし、床式格納式にすることで、座面や背もたれも薄くフラットにならざるを得ないだろう。
せっかく現行フリードが、新型シエンタより優れていると言える数少ない部分を捨てることになりかねず、それって改良になるのかな?と思え、だったら、本当に実現されるのだろうか?と疑問に思うのだ。
ハイブリッドシステムをe:HEVに変え、シエンタと同等以上の燃費を実現一方、ハイブリッドシステムをe:HEVに変えて、新型シエンタと同等以上の燃費を実現するという予想も出ているが、これも疑問が多い。
現行フリードは、先代フィットのプラットフォームをベースに開発されたが、フィットのフルモデルチェンジ情報はまだないため、新型フリードも、現行フィットのプラットフォームをベースに開発されると予想されている。
ところが、現行フィットは、先代フィットからプラットフォームを変えておらず、ハイブリッドシステムだけi-DCDからe:HEVに刷新した。そのため、プラットフォームもTHSⅡも刷新したヤリスに、燃費面では完璧に後塵を拝している。
つまり、新型フリードが現行フィットをベースに開発するということは、新型フリードも、現行フリードのプラットフォームからほとんど変更されないという理屈になる。
そのため、現行フリードから大幅な軽量化は望み薄。
新型フリードは、現行よりボディ長や高さが拡大するという噂も書かれており、それが本当なら今よりむしろ車重は重くなる可能性が高い。
エンジンも、同じ排気量ならば、4気筒より3気筒の方が燃費性能がいいのは、避けられないが、このクラスで4気筒エンジンしか持っていないホンダが、3気筒エンジンを新規開発しているという情報は聞こえてこない。
Honda「脱エンジン宣言」の覚悟。カーボンニュートラルに向けて走り始めた3つの新“エンジン”|Honda Stories|Honda公式サイト聞こえてこないどころか、ホンダが新規のエンジン開発を停止していることは公式発表しているので、新型フリードに3気筒エンジンが乗る可能性はゼロに近い。
HVシステムがe:HEVに変わっても、燃費性能についてはTHSⅡに負けていることは、ホンダ自身も認めており、さらに車が重くなり、エンジンも4気筒のままだったら、どう考えても新型シエンタと同等の燃費性能を達成するなんて不可能だろう。
さて、現時点での私の予想や、予想動画がどの程度当たっているのだろうか?
新型フリードの新製品発表でどのようなスペックが公開されるのかを、今から楽しみにしたいと思う。
関連記事:
YouTubeの新車予想動画は、車の購入検討の役に立たない:トドのつまりは・・・ V2:So-netブログ次期シエンタのフルモデルチェンジ予想(笑):トドのつまりは・・・ V2:So-netブログ