シェールオイルに救いはなし

昨今のOPEC主導の原油増産で、原油価格が大幅に下落し、米国でシェールオイル/ガスを採掘している石油会社が、耐えきれず続々倒産しているそうだ。

当たり前とはいえ、革命と言われたシェールオイルの発掘方式も、穴を掘れば原油が勝手に噴き出す油田に、採掘コストで勝てるはずがない。
もちろん、米国を消費地として考えれば、米国への輸送費分の価格アップ分は高くてもメリットが出るのだが、もはや、それを上回る原油価格の下落が続いており、ビジネスとして成り立たなくなるのは当然だ。

そもそも、シェールオイル自体は昔から存在は知られており、ただ、採掘コストがペイしないから誰も手を出さなかったに過ぎない。
それが、原油価格が高騰したことで、もてはやされるようになった訳だが、その前提が根底から崩れたのである。

日本がエネルギー大国へ?「燃える氷」に熱い期待 | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

そう考えると、一部で、日本は実は資源大国なんだという論拠としてもてはやされる「メタンハイドレート」などの海底資源も、絵に描いた餅であることが分かる。

? メタンハイドレートの開発と経済性 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム

現状、海底表面に分布するメタンハイドレートを、効率よく採掘し、日本本土に運ぶための採掘技術はまだ開発段階であり、しかも、それが可能になっても、シェールオイル以上に採掘コストがかかるのは明白。
それでは、日本近海で採掘して、運搬費が節約できたとしても、シェールオイルでも勝てないローコストな油田に勝てるはずがない。

しかも、メタンハイドレートの採掘で、日本近海の漁場が失われでもしたら、それは一大事なのだが、現状考えられている採掘技術でも、海洋環境をほとんど悪化させずに採掘できるかは、非常に疑問がある状況だ。