第930回:TWS Plus(True Wireless Stereo Plus)とは - ケータイ WatchTWS Plusというのは、クアルコムが開発したBluetoothの左右独立型ワイヤレスホンの接続方式で、従来のTWSが、スマホと右イヤホンがペアリング接続して、右+左のデータを送った上で、右イヤホンから左イヤホンに左のデータを転送するのに対し、TWS Plusでは、左右のイヤホンが、同時にスマホにペアリングして、右イヤホンには右のデータのみ、左イヤホンには左のデータのみをスマホから伝送する方式だ。
従来のTWSも、クアルコムが開発したものではあるが、現在の左右独立型ワイヤレスホンのデファクトスタンダードな接続方式となっており、クアルコム以外のSoCでも普通に使われているが、TWS Plusに対応したスマホやワイヤレス本は、今のところ、クアルコムの一部のSoCを搭載した機種のみで利用可能となっている。
さて、スマホおよび左右のイヤホンは、どれも1チャンネルのBluetooth通信機を持っており、Bluetoothの1チャンネルの帯域を、時分割で共有して、音声データなどの通信を行う。
この際、従来のTWSに比べて、TWS Plusで何が違うのかを説明する。
・音楽再生時の音ズレの改善TWSでは、スマホから右イヤホンに送った左データを、さらに左イヤホンに転送するため、原理的に、若干左イヤホンに音のずれが生じる。
実際には、右イヤホンの音に遅延させて、左右の音のずれを抑えているのだが、微細に見れば、このずれ自体が常に一定ではないので、どうしても左右の微妙なズレ(ジッター)が生じてしまう。
TWS Plusでは、左右のイヤホンにスマホが同時に接続するため、音の再生時に、原理的に時間的なずれがほとんど発生しない。
・音楽再生時の音途切れの減少左右に送る音声データは、ほぼ同じ伝送量で、それを A bpsだとすると、従来のTWPでは、スマホー右イヤホン間では、左右のデータ 2A bpsの伝送、左右のイヤホン間では、左のでデータ A bpsの伝送を行う必要があるため、Bluetootの1チャンネルの帯域を使い、合計3A bpsのデータ伝送を、時分割で行う必要がある。
これが、TWS Plusになると、同じ1チャンネルの帯域で、スマホー右イヤホン間で、A bpsの伝送、スマホー左イヤホン間で、A bpsの伝送、合計で2A bpsのデータ転送を行えばよくなり、データ伝送量が2/3に減り、帯域に余裕ができる。
そして、帯域に余裕があれば、Bluetoothの変調パラメータを、よりエラー訂正を強化するように変更することができるため、それにより通信が途切れにくくなり、安定した音楽再生ができるようになる。
・イヤホンのバッテリーの持ちが改善Bluetoothで伝送するデータ伝送量がトータルで2/3に減る分、イヤホンのBluetooth通信部の消費電力も減る。
また、TWSでは、右イヤホンは、左イヤホンの3倍の通信を行う必要があり、その分、右イヤホンの消費電力が大きくなるのだが、イヤホンを片方だけやたらバッテリー容量を大きくするわけにもいかず、どうしても片方のイヤホンだけバッテリーが早く切れがちとなる。
TWS Plusでは、左右のバッテリーの減りも均等であり、左右のバッテリー容量も同じでいいため、トータルでバッテリーの持ちも改善される。
以上のような3点が、TWSに比べて、TWS Plusの良い点だ。
TWS Plusの原理とメリットを説明するだけで、結構な文字数を費やしてしまったので、本日はここまで。
TWS PlusがTWSに比べて劣る点は、技術的にはないと言っていいが、それを利用するための条件が意外に厳しい。
次回、その点について、詳しく説明した上で、Xiaomiのスマホ「Redmi Note 9S」と、Xiaomiの左右独立型ワイヤレスホン「Haylou GT1 Plus」の組み合わせでの動作検証の結果をレポートしたい。
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