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「富岳」が3期連続でスパコン世界一に [科学技術]

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「富岳」がスパコン世界性能ランキング4冠達成 - PC Watch

理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」が、2020年6月、2020年11月に続いて3期連続で、スパコン世界ランキングの「TOP500」、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」、「HPL-AI」、「Graph500」のすべてのカテゴリにおいて、首位を獲得したそうだ。

「富岳」は、先期から既にフルスペックで稼働しており、今期のベンチマーク性能も、前回とほぼ同じ。

ということは、今回も「富岳」が1位からランクダウンしなかったのは、米国、中国で予定されていた「富岳」を上回る性能のスパコンの完成が遅れているせいだ、ということになる。

「富岳」はスパコン世界一をいつまで守れるか?:トドのつまりは・・・ V2:So-netブログ

先期、首位をを獲得した際、次に「富岳」を超えると予想されている新しいスパコンについて説明し、それらが問題を抱えているため、今回は、「富岳」が引き続き首位が取れるかもしれない、と書いたが、その予測は当たったみたいだ。

では、半年後の次回は、「富岳」に勝つスパコンが登場するのだろうか?

最新状況を、改めてチェックしてみた。

まず、中国の次世代100京級スパコン「天河3号」については、今年に入って日本語での報道は見当たらず、仕方なく、中国のニュースも検索してみた。

超??算机:美国新一?制裁能否?死中国??梦 - BBC News 中文

すると、米国政府が、中国のスーパーコンピューター研究開発プログラムに関連する7つの企業または組織に対する制裁措置を発表しており、それにより開発に支障が出ている模様だ。

CPUに関しては、そもそも米国政府の制裁の影響で、「天河」シリーズは、独自アーキテクチャのCPUに移行しており、その制裁を回避してきた。

ただ、スパコンに使うCPUは、できれば高密度で低消費電力の最先端の半導体プロセスを使いたいはずで、これまでは、そうした製造プロセスを有する半導体製造ファウンドリ・台湾TSMCに生産を委託してきたのが、どうやら米国のEAR再輸出規制で、中国はスパコンでTSMCが使えなくなった。

TSMCに代わる技術レベルの最先端半導体製造ファウンドリというと、韓国・サムスンと、米国・インテルだけであり、どちらも米国EAR規制の網の中にあり、中国は使えない。

中国国内にも、MediaTekなどが利用するHSMCや、SMICなどの半導体製造ファウンドリはあるが、最先端プロセスとは言えず、おそらく「天河3号」の要求仕様の性能、消費電力のCPUが作れないのではないかと思われる。

Auroraのトラブル、Frontierはエクサスケールの極地へ | HPCwire Japan

一方、米国の「Aurora」が遅れているのは、GPUの生産を委託する予定だったIntelの7nmプロセスの立ち上げに失敗し、GPUが作れない状況になったためであることは、先期、既に説明した。

Intelの7nmプロセスでの製造開始は2022年後半~2023年までずれ込む? - iPhone Mania

その後も、Intelの苦戦は続いているそうで、7nmプロセスが本格的に立ち上がるのは、2023年までずれ込む見通しらしいので、このままでは「Aurora」の完成は見通せなくなってしまった。
「Aurora」の開発には、Intelも直接コミットしており、IntelがダメならTSMCに代えればいい、という訳にもいかないはずだからだ。

一方、元々「Aurora」より遅い開発日程だった「Frontier」は、AMDのCPUとRadeon GPUを使用しており、それらは、TSMCで製造されるため、製造上の問題は起きておらず、2021年の納入は今のところ問題はないようだ。

これが目論見通り完成すると、目標計算性能は、「富岳」の2倍近い1.5エクサFLOPSとなっており、「富岳」が首位を明け渡すのは確実だ。

ただ、「2021年の納入」のレベルによっては、半年後の次期は、「Frontier」がまだ本格的に稼働せず、引き続き「富岳」が首位を守る可能性もある。
ただ、次々期の1年後には、さすがに「Frontier」が首位に立つ公算は高そうだ。

それでも、ここまで3期も連続で首位を守った「富岳」の偉業は素晴らしいものであるのは間違いなく、4期連続となったら、それはなかなか抜けない記録となるのではないかと思う。

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